メジャー流: 試合で結果を出す考え方

 季節はもう6月、野球シーズンは全国大会の予選などが多くなり、佳境を迎えております。そんな中で、練習では打てても試合で思うような結果が出ない選手がいます。では、その違いは何にあるのか?を、今回はテーマにしてみたいと思います。
 まず、試合は練習と違ってたくさんのPressure <プレッシャー>とDistraction<妨害>があります。それは大きな試合になればなるほどその数は多くなります。ポイントはこの二つに負けずにいかに普段通りのプレーをすることができるかが試合で結果を出すための大きな要因となります。
 それでは参考に、2004年にロサンゼルスタイムスという新聞にレジースミスがクローズアップされた記事を紹介したいと思います。
新聞の見出しは「Hired of Hit Man」(打撃請負人)、新任の打撃コーチとしてそのシーズンに飛躍的にチームの打撃を向上させたメジャーリーグで成功している二人のコーチ、当時ロサンゼルス・ドジャースの打撃コーチのティム・ウォラック氏<現ドジャース三塁ベースコーチ>と当時アナハイム・エンジェルスのミッキー・ハッチャー氏(現ロサンゼルス・エンジェルス)の二人が紹介されました。その質問に「最も大きく影響を受けたコーチは?」という質問に二人の共通の答えがレジースミスでした。ハッチャー氏はドジャース時代にコーチングをスミスから学ぶ、ウォラック氏は選手時代にスミスから指導を学びました。その中で学んだことで大事なことがありました。打撃のスイングの理論を学び、そして、試合での考え方として「原因と結果の因果関係」というもので、すべてはその原因が大事でその後に結果が付いてくるという考え方でした。そして、その言葉を詩的に表現すると「もし、選手に結果を追い求めることを指導したら、その結果は空にある虹をつかみに行くようなものだ。」ということでした。
ウォラックコーチはドジャースの選手達に結果を追い求めるのではなく、一打席一打席を自分のベストを出せることに集中することを彼らに言い聞かせ、打席内では打ち方を気にせず、そして失敗を恐れずに打席に立つように指導しました。また、とにかくシンプルに’Get a good pitch to hit ! 「打ちやすいボールを打つんだ」と、選手に分かりやすく指導しました。また、ハッチャー氏はパソコンなどを駆使せずに、不必要な情報が選手の妨害になることを避けて、打撃統計や相手チームの投手の傾向にもあまり頼らずにいかに打席で集中するかということに徹しました。
当時のロサンゼルス・ドジャースの監督、ジム・トレーシー監督も「情報は確かに大事なこと、しかし、それを入れすぎると打者としての大事な本能を失ってしまう。」まさにこの情報社会を象徴する弱点を示しています。
 この二人のコーチの成功が示すように、いかに余計なことを考えずに打席に立つかが大きなポイントになると思います。
今まで多数の日米で成功を収めた選手と話すと非常に考え方がシンプルであるということが私の感じたことです。

 尚、下記に実際の新聞が掲載されておりますので、英文ではございますが読んで頂ければと思います。